琵琶床:床の間の粋
リフォームの初心者
先生、「びわ床」ってどういう意味ですか?リフォームの本で見たんですけど、よくわからなくて。
リフォーム専門家
ああ、「びわ床」ね。床の間の種類の一つで、床框よりも一段上がった段板がある床の間のことだよ。昔はそこに琵琶を置くことがあったから、「びわ床」っていう名前になったんだよ。
リフォームの初心者
一段上がったところがあるんですね。他の呼び方もあるんですか?
リフォーム専門家
そうだよ。同じものを「だるま床」とか「鎧床」とも呼ぶよ。覚えておくと役に立つかもしれないね。
びわ床とは。
家の改修に使う言葉で、『びわ床』というものがあります。これは床の間の種類の一つで、床框よりも一段高くなった板の間がある床の間のことです。ここに琵琶という楽器を置くことから、この名前がつきました。『だるま床』や『鎧床』とも呼ばれます。
床の間の種類
日本の家屋には、昔から床の間という特別な空間があります。床の間は、客間や座敷などに設けられた一段高い場所で、掛け軸や花瓶、置物などを飾り、部屋全体に趣を出す大切な場所です。床の間には様々な種類があり、形や大きさ、飾り付けによってそれぞれ異なった雰囲気を作り出します。今回は、代表的な床の間の種類をいくつかご紹介します。
まず、書院造の床の間は、伝統的な武家屋敷などに見られる格式高い床の間です。床柱や落掛、違い棚など、様々な装飾が施され、荘厳な雰囲気を醸し出します。書院造の床の間は、正式な客間などに用いられることが多く、床の間の格式の高さを示すものとして大切に扱われています。天井が高く、床柱に銘木が使われるなど、細部にまでこだわって作られています。
次に、違い棚のある床の間は、書院造の床の間と比べて簡素な作りになっています。違い棚とは、床の間に設けられた段差のある棚のことで、花瓶や置物を飾るために使われます。違い棚のある床の間は、一般家庭の客間などによく見られ、和やかな雰囲気を演出します。書院造のような厳格な決まりはなく、比較的自由な飾り付けを楽しむことができます。
そして、琵琶床は、床板を琵琶の形に張った床の間です。琵琶の胴のような丸みを帯びた形が特徴で、優美で雅やかな印象を与えます。茶室などに用いられることが多く、独特の風情を好む人々に選ばれています。その名の通り、琵琶を置いているかのような美しい曲線は、見る人の目を惹きつけます。
このように、床の間には様々な種類があり、それぞれに異なる魅力があります。家の広さや使い方、そして家主の好みに合わせて、ぴったりの床の間を選ぶことが、より快適で美しい住まいを作る上で大切です。床の間の種類をよく理解し、自分の家に合った床の間を選んで、日本の伝統的な美しさを楽しんでください。
種類 | 特徴 | 雰囲気 | 設置場所 | その他 |
---|---|---|---|---|
書院造 | 床柱、落掛、違い棚など様々な装飾 | 荘厳 | 正式な客間 | 天井が高く、床柱に銘木が使われるなど、細部にまでこだわっている |
違い棚のある床の間 | 段差のある棚に花瓶や置物を飾る | 和やか | 一般家庭の客間 | 書院造のような厳格な決まりはなく、比較的自由な飾り付けができる |
琵琶床 | 床板を琵琶の形に張っている | 優美、雅やか | 茶室 | 琵琶を置いているかのような美しい曲線が特徴 |
琵琶床の特徴
琵琶床は、床框よりも一段上がったところに段板があるという特徴を持つ床の間の一種です。この段板の存在こそが、琵琶床を他の床の間と区別する重要な要素であり、格調高い雰囲気を生み出しています。
この段板の上には、その名の通り琵琶を始めとした楽器や、美術品、置物などを飾ることができます。かつては、琵琶の演奏者がこの段板の上に座って演奏していたとも伝えられています。琵琶の繊細な音色が床の間の静寂な空間の中で響き渡る情景は、日本の伝統的な美意識を体現するものであったと言えるでしょう。
琵琶床は「達磨床」や「鎧床」という別名でも知られています。達磨大師が座禅を組む姿に似ていることから「達磨床」と呼ばれ、また、鎧兜を飾るのに適した形であることから「鎧床」と呼ばれるようになりました。床框の上に設けられた段板は、ちょうど達磨大師の座禅台や、鎧兜の飾り台を思わせる形状をしています。
琵琶床は、書院造などに見られる格式高い建築様式によく用いられます。その荘厳な佇まいは、空間に奥行きと落ち着きを与え、訪れる人を魅了します。現代の住宅においても、和室に琵琶床を設けることで、伝統的な雰囲気を醸し出し、洗練された空間を演出することができます。琵琶床は、単なる飾り棚ではなく、日本の美意識と精神性を象徴する存在と言えるでしょう。
項目 | 説明 |
---|---|
名称 | 琵琶床(びわどこ) |
別名 | 達磨床(だるまどこ)、鎧床(よろいどこ) |
特徴 | 床框より一段上がった段板がある。楽器、美術品、置物を飾る。 |
由来/用途 | 琵琶演奏者の演奏場所、達磨大師の座禅姿、鎧兜の飾り台 |
雰囲気 | 格調高い、荘厳な佇まい、奥行きと落ち着き |
建築様式 | 書院造など |
現代住宅での利用 | 和室に設置し、伝統的な雰囲気、洗練された空間を演出 |
琵琶床の寸法
和室の格式を高める床の間の中でも、琵琶床は独特の趣を持つ床の間の形式です。琵琶床の寸法は、部屋全体の調和を保ちながら、その美しさを最大限に引き出すために重要な要素となります。床の間の広さや高さ、段板の位置など、細部にわたるまで綿密に計画する必要があります。
まず、床の間の奥行きは、一般的には畳一枚分の奥行きを基準とします。畳の奥行きとほぼ同じにすることで、空間に統一感と安定感が生まれます。奥行きが深すぎると部屋が狭く感じられ、浅すぎると床の間の存在感が薄れてしまうため、バランスが大切です。
次に、床の間の幅は、畳一枚分を目安とすることが多いです。部屋の大きさに合わせて調整が必要ですが、畳一枚分を基準とすることで、和室全体の調和を保ちやすくなります。床の間に飾る掛軸や花入れとのバランスも考慮しながら幅を決めましょう。広すぎると床の間が部屋の中で主張しすぎる印象を与え、狭すぎると飾るものが窮屈に見えてしまいます。
琵琶床の特徴である段板の高さは、床框から数寸程度上げるのが一般的です。数寸とは、およそ5~10センチメートル程度を指します。段板の高さを調整することで、床の間の奥行きに変化をつけ、空間に立体感と奥行きを出すことができます。段板が高すぎると床の間が威圧的に感じられ、低すぎると琵琶床としての特徴が薄れてしまうため、注意が必要です。
これらの寸法は、あくまで一般的な目安です。実際に琵琶床を設置する際には、部屋の大きさや形状、天井の高さ、そして他の建具とのバランスなど、様々な要素を考慮する必要があります。経験豊富な専門の職人さんと相談することで、部屋の雰囲気に合った最適な寸法を決定し、美しい琵琶床を実現できるでしょう。さらに、床の間に飾るものもあらかじめ想定しておくことで、より完成度の高い琵琶床を作ることができます。
項目 | 寸法 | 備考 |
---|---|---|
奥行き | 畳一枚分 | 部屋とのバランスが重要。深すぎると狭く、浅すぎると存在感が薄れる。 |
幅 | 畳一枚分 | 部屋の大きさに合わせて調整。掛軸や花入れとのバランスも考慮。広すぎると主張が強く、狭すぎると飾るものが窮屈。 |
段板の高さ | 床框から数寸(5~10cm程度) | 床の間の奥行きに変化と立体感を与える。高すぎると威圧的、低すぎると特徴が薄れる。 |
琵琶床の材料
琵琶床は、和室の中でも特に格式高い場所であり、その材料選びは空間の雰囲気を大きく左右します。琵琶床の主要な構成要素である床柱、床框、段板には、一般的に木材が用いられます。
床柱には、まっすぐで節が少ない高級木材が好まれます。中でも、杉や檜は人気の高い樹種です。杉は、柔らかな木目と淡い紅色を帯びた色合いが特徴で、温かみのある落ち着いた雰囲気を醸し出します。一方、檜は、独特の芳香と美しい白木が、清々しく凛とした印象を与えます。その他にも、磨き丸太や銘木と呼ばれる希少な木材が使われることもあり、床の間に特別な風格を添えます。
床框は、床柱の足元を囲むように設置される横木で、床の間の印象を引き締める役割を果たします。床框には、床柱に使われた木材と調和する種類が選ばれます。例えば、床柱に杉を用いた場合は、床框にも杉を用いることで、統一感のある落ち着いた空間を演出できます。また、床柱と異なる木材を組み合わせることで、コントラストを生み出し、変化をつけることも可能です。
段板は、床の間を一段高くするために用いられる板材です。段板にも、床柱や床框と同様に、杉や檜などの木材が使用されます。段板は、床の間の広がりや奥行きを強調する効果があり、空間全体に立体感を与えます。
これらの木材は、仕上げ方法によってさらに趣が変わります。例えば、漆塗りは、木材の表面に光沢と耐久性を与え、重厚感のある格調高い雰囲気を演出します。柿渋塗りは、木材に渋みのある落ち着いた色合いと独特の風合いを与え、自然な美しさを引き立てます。その他にも、オイル仕上げや蜜蝋仕上げなど、様々な仕上げ方法があり、それぞれの技法によって床の間の表情は大きく変化します。このように、琵琶床の材料選びと仕上げ方法によって、和室の雰囲気は大きく左右されます。木材の種類や仕上げ方法を carefully 選択することで、こだわりの空間を作り上げることができます。
構成要素 | 材料 | 特徴 | 仕上げ方法 |
---|---|---|---|
床柱 | 杉 | 柔らかな木目と淡い紅色、温かみのある落ち着いた雰囲気 | 漆塗り、柿渋塗り、オイル仕上げ、蜜蝋仕上げなど |
檜 | 独特の芳香と美しい白木、清々しく凛とした印象 | ||
磨き丸太、銘木 | 特別な風格 | ||
床框 | 床柱に合わせた木材 | 床の間の印象を引き締め、統一感を出す | |
床柱と異なる木材 | コントラストを生み出し、変化をつける | ||
段板 | 杉、檜など | 床の間の広がりや奥行きを強調、立体感を出す |
現代建築と琵琶床
近年の建築様式においても、床の間を設ける事例は多く見られます。古風な趣を持つ日本家屋だけでなく、西洋風の家屋にも床の間を組み込むことで、空間に奥行きと変化が生まれ、洗練された雰囲気を作り出すことができます。数ある床の間の種類の中でも、琵琶床はその優美な形状と気品ある佇まいから、現代の建築においても高い評価を得ています。
琵琶床は、琵琶の胴の部分のように中央が少し膨らんだ形状が特徴です。床柱がなく、壁と一体となったすっきりとしたデザインは、現代的な空間にも美しく調和します。また、床板には、紫檀や黒檀などの銘木が使われることが多く、その重厚感と華やかさが空間に風格を与えます。
現代の暮らしに合わせた琵琶床の活用方法も広がっています。例えば、琵琶床の上にテレビや音響機器を設置することで、和と洋が融合した、趣のある空間を演出することができます。また、花瓶や置物、掛け軸などを飾るだけでなく、季節の草花や、趣味の道具などを置いて楽しむこともできます。琵琶床は、空間を彩るだけでなく、住む人の個性を表現する場としても活用できるのです。
古くから伝わる様式を受け継ぎながらも、現代の生活様式にも違和感なく溶け込む琵琶床。その洗練されたデザインと多様な活用方法は、これからも日本の住まいにおいて、無くてはならない存在であり続けるでしょう。素材や照明にも工夫を凝らすことで、さらに魅力的な空間を創り出すことも可能です。現代建築の自由な発想と、琵琶床の伝統美が融合することで、新しい日本の住まいの形が生まれていくのではないでしょうか。
項目 | 内容 |
---|---|
種類 | 琵琶床 |
形状 | 琵琶の胴のように中央が少し膨らんだ形状 |
特徴 | 床柱がなく、壁と一体となったすっきりとしたデザイン 紫檀や黒檀などの銘木が使われることが多い 重厚感と華やかさ 現代的な空間にも調和 |
活用方法 | テレビや音響機器の設置 花瓶、置物、掛け軸などの装飾 季節の草花や趣味の道具の展示 住む人の個性を表現する場 |
メリット | 和と洋の融合 空間を彩る 個性を表現 |
その他 | 素材や照明にも工夫を凝らすことで、さらに魅力的な空間を創り出すことが可能 |
まとめ
琵琶床は、日本の伝統的な床の間の形式の一つで、正面に段差を設けた板敷きがあるのが特徴です。この段差は、琵琶を立てかけておく場所として使われていたことからその名がついたと言われています。琵琶床は、古くから茶室や書院造などで用いられ、その格調高い雰囲気は、空間に静寂と落ち着きをもたらします。現代の住宅においても、和室だけでなく洋室にも違和感なく取り入れることができ、洗練された空間を演出することができます。
琵琶床を設置することで、空間に奥行きと立体感が生まれます。床の間部分に段差ができることで、視覚的に空間に変化が生まれ、単調になりがちな空間にリズムが加わります。また、琵琶床は、花瓶や掛け軸、置物などを飾る場所としても最適です。段差があることで、飾られた物がより一層引き立ち、空間に華やかさを添えます。床の間に飾る物を季節に合わせて変えることで、日本の四季の移ろいを楽しむこともできます。
新築やリフォームの際に、琵琶床を取り入れることは、日本の伝統美に触れる良い機会となります。現代の生活様式に合わせたデザインを取り入れることで、伝統と現代の調和を楽しむことができます。たとえば、床材に自然素材を使用したり、照明を工夫することで、より落ち着いた雰囲気を演出することができます。また、琵琶床の段差部分に間接照明を設けることで、空間に奥行きと陰影が生まれ、より幻想的な空間を創り出すことができます。
琵琶床は、単なる装飾ではなく、日本の文化と精神性を体現する大切な空間です。その静寂と落ち着き、そして美しさは、時代を超えて人々を魅了し続けてきました。琵琶床のある空間で、静かに座って一服のお茶を味わう、そんな豊かな時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。琵琶床を設置することで、日々の暮らしの中に、日本の伝統文化の美しさを取り入れ、心穏やかな時間を過ごすことができるでしょう。
特徴 | メリット | 現代住宅への応用 | 雰囲気 |
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正面に段差を設けた板敷き | 空間に奥行きと立体感を与える | 和室だけでなく洋室にも違和感なく取り入れ可能 | 静寂と落ち着き |
琵琶を立てかけておく場所として使われていた | 花瓶や掛け軸、置物などを飾るのに最適 | 現代の生活様式に合わせたデザインを取り入れ可能 | 格調高い |
茶室や書院造などで用いられる | 飾る物を季節に合わせて変えることで四季の移ろいを楽しめる | 床材に自然素材を使用 | 洗練された |
照明を工夫 | 幻想的 | ||
段差部分に間接照明を設置 | 心穏やか |