じゅらく壁

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仕上げ

聚楽壁:日本の伝統的な壁の魅力

聚楽壁とは、日本の伝統的な建築様式である和風建築において、独特の風合いを醸し出す土壁のことを指します。名前の由来は、太閤秀吉が築城した聚楽第に由来します。かつて聚楽第が築かれた京都の西陣周辺で採掘される土を用いて壁が仕上げられ、それが「聚楽壁」と呼ばれるようになりました。 現在では特定の地域の土を使用しているわけではなく、聚楽壁の見た目や質感を再現した壁も同様に聚楽壁と呼ばれています。歴史を感じさせる由緒ある建物や、わびさびといった簡素な中に奥深さを見出す美意識が凝縮された茶室など、様々な場所で用いられています。その上品で落ち着いた雰囲気は、和室の空間に静けさと気品を添え、独特の安らぎを与えてくれます。 聚楽壁の特徴は、表面に現れる大小さまざまな砂つぶと、独特の土の風合いにあります。職人が丁寧に土を塗り重ね、仕上げることで、独特の凹凸と質感が生まれます。この凹凸が光を柔らかく反射し、温かみのある落ち着いた空間を作り出します。また、調湿効果にも優れており、日本の高温多湿な気候風土にも適しています。夏は湿気を吸収し、冬は乾燥を防ぐため、一年を通して快適な室内環境を保つことができます。 聚楽壁の色合いは、土本来の自然な色味を生かした、柔らかな中間色が主流です。代表的な色としては、ベージュ、薄茶色、灰色などがあり、周囲の建具や調度品との調和も美しく、和の空間に自然と溶け込みます。現代の住宅でも、和室だけでなく、リビングや寝室などにも取り入れられることが増え、日本の伝統的な美意識と現代的な暮らしの調和を感じさせる空間演出に一役買っています。