
角の仕上げ:つのがらリフォーム
つのがらとは、窓や戸といった開口部の枠組みの隅に施される、独特な仕上げ方法のことです。縦の枠と横の枠が交わる部分で、どちらか一方の枠をもう一方よりも少し突き出すように造られます。この突き出した様子が、ちょうど獣の角のように見えることから「つのがら」と呼ばれるようになりました。
つのがらは、見た目の美しさだけでなく、建物の強度を高める上でも重要な役割を果たします。角の部分を突き出すことで、枠組み全体の強度が増し、長持ちさせることに繋がります。また、雨水が建物内部に染み込むのを防ぐ効果も期待できます。突き出した部分が雨水の侵入経路を複雑にするため、雨水が枠の隙間に入り込みにくくなるのです。
つのがらは、古くから日本の建築で用いられてきた伝統的な技法です。現代の住宅建築でも、和風家屋をはじめ、伝統的な雰囲気を取り入れたデザインによく見られます。最近では、洋風の住宅でも、その独特の風合いを活かして取り入れる例も増えてきています。
つのがらの形状や大きさは、建物のデザインや用途に合わせて、様々な種類があります。例えば、角の丸みを帯びたもの、角張ったもの、大きく突き出したもの、小さく突き出したものなど、多様なバリエーションが存在します。建物の外観に合わせて、最適なつのがらを選ぶことで、より美しく、より機能的な窓や戸を造ることができます。
このように、つのがらは、単なる装飾ではなく、日本の風土や気候に合わせた、先人の知恵が詰まった技術です。小さな部分にも気を配り、丁寧に仕上げることで、建物の美しさと耐久性を高める、日本の建築の細やかさを象徴するもののひとつと言えるでしょう。