ひずみ

建物を作る上で欠かせない鉄骨は、鉄を材料とした骨組みのことです。この鉄骨に使われる鋼材は、製鉄所で作られた後、鉄骨を作る工場へと運ばれます。しかし、この運搬中に材料である鋼材に歪みが生じてしまうことがあります。 歪みとは、鋼材が本来あるべき形から変化してしまう現象のことを指します。まるで粘土をこねて形が変わるように、鋼材も様々な要因で曲がったり、ねじれたりすることがあります。この歪みは、トラックへの積み下ろし作業や、運搬中の揺れなどによって引き起こされます。また、鋼材を保管する場所の環境も影響を与えます。例えば、高温多湿な場所に置くと、鋼材は熱で膨張したり、湿気を吸って縮んだりして、歪みが発生しやすくなります。 歪みは鉄骨の強度や精度を下げるため、建物の安全に大きく関わる問題です。歪んだ鋼材で鉄骨を組み立てると、建物全体の強度が弱くなったり、設計通りの形にならない可能性があります。そのため、歪みを適切に直すことは、高品質な鉄骨を作る上で非常に重要な作業です。 歪みの程度は様々です。目で見ても分からないほど小さなものから、肉眼でもはっきり分かる大きなものまであります。たとえ小さな歪みであっても、積み重なると大きな問題に発展することもあります。また、歪みは鋼材の種類や形、大きさによっても発生しやすさが違います。薄い鉄板や長い鋼材は特に歪みやすく、複雑な形の鋼材も歪みやすい部分があるため、注意が必要です。 鉄骨を作る工場では、搬入された鋼材の歪みをチェックし、必要に応じて歪みを直す作業を行います。この作業によって、安全で高品質な鉄骨を作ることができるのです。