強くて軽い!家の屋根を支えるトラス構造
三角形は、建築の世界で特別な力を持つ形です。その秘密は、その独特の構造にあります。四角形のように、頂点を繋ぐ線が四本ある形を想像してみてください。四角形は、角を少し押したり引いたりするだけで、簡単に平行四辺形や台形といった別の形に変わってしまいます。つまり、四角形は、外から力が加わると、簡単に形を変えてしまう不安定な形と言えるでしょう。
ところが、三角形は違います。三角形は、頂点を繋ぐ線が三本しかありません。この三本の線で囲まれた形は、一度形が決まると、簡単には変形しません。三本の線の長さが変わらない限り、三角形の形は固定されるのです。この性質を「三角形の剛性」と呼びます。
この三角形の剛性を活かして、建物に強度と安定性を与えるのが「トラス構造」です。トラス構造は、複数の三角形を組み合わせて作る骨組みです。屋根を支える構造によく使われています。屋根には、雨や風、雪など、様々な力が加わります。トラス構造は、三角形の剛性によってこれらの力に耐え、屋根をしっかりと支えることができるのです。
さらに、トラス構造は、少ない材料で広い空間を覆うこともできます。三角形を組み合わせることで、軽量ながらも強度の高い構造を作ることができるため、大きな空間を作る際に有利です。例えば、体育館やドーム球場など、広い空間が必要な建物で、トラス構造が採用されているのをよく見かけます。また、橋や鉄塔など、高い強度と安定性が求められる構造物にも、トラス構造は欠かせません。
このように、三角形の持つ特別な力は、建築の様々な場面で活用されています。一見単純な形でありながら、三角形は力強く、そして効率的な構造を実現する、まさに縁の下の力持ちと言えるでしょう。