
コンクリートの寿命を延ばすAE剤
コンクリートは、私たちの暮らしを支えるなくてはならない材料です。道路や橋、建物など、様々な建造物に使われ、私たちの生活を便利で安全なものにしてくれています。しかし、コンクリートは時間の経過とともに劣化し、ひび割れが生じたり強度が下がったりすることがあります。これは、凍害や乾燥収縮、あるいは荷重による疲労など、様々な要因が影響しています。このようなコンクリートの劣化を防ぎ、より長く安全に使用するために役立つ技術の一つが、微細な空気の泡を利用した工法です。
この工法で使われるのが、空気連行剤、またはAE剤と呼ばれるものです。AE剤をコンクリートに混ぜ込むと、コンクリートの中に目に見えないほどの小さな空気の泡が無数にできます。この小さな泡が、コンクリートの耐久性を高める鍵となります。まるでクッションのように、これらの泡がコンクリートにかかる力を受け止め、分散させることで、ひび割れの発生を抑える効果があるのです。冬の寒い時期に水が凍ると体積が増えますが、コンクリート内部にできた小さな泡は、この体積増加による圧力を吸収し、コンクリートのひび割れを防ぎます。また、乾燥による収縮も、泡が緩和する役割を果たします。
AE剤を使うことで、コンクリート構造物の寿命を延ばすだけでなく、補修や修繕などの維持にかかる手間や費用を減らすことにもつながります。つまり、AE剤を使ったコンクリートは、環境にも優しく、経済的にもメリットが大きいと言えるでしょう。近年、地球環境への配慮がますます重要になっています。AE剤を活用したコンクリート技術は、持続可能な社会の実現に貢献する、重要な技術の一つと言えるでしょう。