仕上げ工法

記事数:(1)

仕上げ

モルタルコテ押え:美しい壁を実現

壁をモルタルで仕上げる方法の一つに「こて押さえ」があります。モルタルとは、セメントと砂と水を混ぜ合わせた建築材料で、家の壁や床によく使われます。このモルタルを壁に塗った後、金属でできた道具であるこてを使って表面を滑らかに整えるのが、こて押さえです。 こて押さえは、職人の腕の見せ所です。こての種類や動かし方、押さえ方によって様々な模様や表面の質感を作り出すことができます。例えば、扇形のこてを使うと、放射状に広がる模様をつけることができますし、押さえる力を加減することで、表面の粗さを調整できます。まるで絵を描くように、職人はこてを使って壁に模様を刻んでいきます。 こて押さえの最大の魅力は、その独特の風合いと重厚感です。機械では出せない、人の手ならではの温かみを感じることができます。また、モルタルの組成やこての使い方によって仕上がりが変わるため、全く同じ壁は二つとありません。一つ一つが個性を持った、世界にたった一つの壁となるのです。 経験豊富な職人は、建物の雰囲気や周りの景色との調和を考えながら、最適なこての使い方を選びます。そのため、こて押さえの壁は、単なる壁ではなく、まるで芸術作品のように、建物の外観に風格と美しさを与えます。 こて押さえは、職人の技術と感性が光る、伝統的な技法です。その仕上がりの美しさは、見る人の心を掴み、時を超えて愛され続けています。近年は、新しい材料や技術も取り入れられ、さらに表現の幅が広がっています。こて押さえの壁は、これからも日本の建築文化を彩り続けることでしょう。