格式高い和室の象徴:本床の基礎知識
本床とは、和室に設けられる床の間の中でも、最も格式が高いものです。床の間そのものは、お客さまをお迎えする特別な場所として発展してきました。数ある床の間の中でも、本床は格式を重んじる武家社会で特に好まれ、書院造などの格式高い座敷に用いられてきました。現代の住まいでは、正式な茶室や、格式を重視した和室で見かけることが多いでしょう。
本床の特徴は、床の一部を一段高くすることで、他の空間と明確に区別している点です。この一段高くなった部分には畳が敷かれ、その奥行きは畳の短い辺の長さと同じ一畳分です。一段上がった床の前方には、床框と呼ばれる横木が渡されます。床框は、畳と床の境目を仕切り、空間にメリハリを与えています。また、上部には落し掛けと呼ばれる装飾的な部材が取り付けられます。落し掛けは、天井と床の間の小壁をつなぐ役割を果たし、床の間全体を引き締めます。さらに、落し掛けの上部は小壁で仕切られます。小壁は、床の間の奥行きを強調し、空間の奥行きを感じさせる効果があります。
本床を構成するこれらの要素、一段上がった畳敷きの床、床框、落し掛け、そして小壁が組み合わさることで、荘厳で格調高い雰囲気が作り出されます。床の間には、掛軸や花を生けた花入れなどを飾ることで、その空間をより一層華やかに演出します。本床は、単なる床の装飾ではなく、日本の伝統的な建築様式における美意識や格式を体現する重要な要素と言えるでしょう。本床のある和室は、日本の文化の奥深さを感じさせる、特別な空間となるでしょう。