天袋を使いこなす収納術
天袋とは、日本の伝統的な和室に見られる押入れの上部に設けられた収納空間のことです。天井に近い高い場所に位置しているため、「天」の字が使われていると考えられています。普段よく使う物ではなく、季節の変わり目にしか使わない物や、滅多に使わない物を収納するのに最適です。
天袋の高さは一般的に40~50cm程度です。椅子や踏み台を使わないと手が届かない高さにあるため、日常的に出し入れする物ではなく、使用頻度の低い物を収納するのが良いでしょう。例えば、冬用の布団や毛布、夏用の浴衣、雛人形や五月人形といった季節の行事で使われる物、あるいはアルバムや手紙といった思い出の品などを収納するのに向いています。
天袋の奥行きは押入れと同じで、収納力も高くなっています。かさばる物や大きな物でも収納できるので、限られた和室の空間を有効活用できます。また、天袋は見た目以上に収納力があり、普段使わない物を整理してしまっておくことで、部屋をすっきりと片付けることができます。
現代の住宅では、和室自体が少なくなってきており、天袋を見かける機会も減ってきています。しかし、天袋は日本の住宅における限られた空間を最大限に活用するための知恵の結晶と言えるでしょう。手の届きにくい高い場所を収納に活用するという工夫は、現代の収納術にも通じるものがあります。天袋は、古くても優れた収納方法の一つと言えるでしょう。