床框

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素材

框:家の顔となる重要な部材

框とは、家の中で水平に渡された木材のことを指し、様々な場所で使われています。 床の間や玄関の上がり框のように、床の高さが変わるところによく見られます。段差部分に框があることで、空間に変化が生まれ、見た目にも美しくなります。また、框は段差につまずくのを防ぐ役割も担っています。 縁側にも框は使われています。縁側は屋内と屋外の中間的な空間であり、框によってその境界が明確になります。框に座って庭を眺めたり、風を感じたりと、框があることで縁側での過ごし方がより豊かになります。 建具の枠にも框は用いられています。 引き戸や障子、窓などの枠に框を使うことで、建具の強度を高め、歪みを防ぎます。また、框があることで建具の開閉がスムーズになり、見た目も美しく仕上がります。 畳にも框という言葉が使われます。畳の短い辺の折り目の部分を框と呼びます。畳表を折り曲げて縫い付けているため、畳の縁がしっかりと補強され、耐久性が増します。 このように、框は家の中の様々な場所で、多様な役割を担っています。空間を仕切ったり、強度を高めたり、見た目美しく仕上げたりと、框があることで家はより快適で美しくなります。框の種類も豊富で、木材の種類や形状、大きさなど様々です。場所や用途、家の雰囲気に合わせて適切な框を選ぶことで、より洗練された空間を演出することができるでしょう。
室内

格式高い和室の象徴:本床の基礎知識

本床とは、和室に設けられる床の間の中でも、最も格式が高いものです。床の間そのものは、お客さまをお迎えする特別な場所として発展してきました。数ある床の間の中でも、本床は格式を重んじる武家社会で特に好まれ、書院造などの格式高い座敷に用いられてきました。現代の住まいでは、正式な茶室や、格式を重視した和室で見かけることが多いでしょう。 本床の特徴は、床の一部を一段高くすることで、他の空間と明確に区別している点です。この一段高くなった部分には畳が敷かれ、その奥行きは畳の短い辺の長さと同じ一畳分です。一段上がった床の前方には、床框と呼ばれる横木が渡されます。床框は、畳と床の境目を仕切り、空間にメリハリを与えています。また、上部には落し掛けと呼ばれる装飾的な部材が取り付けられます。落し掛けは、天井と床の間の小壁をつなぐ役割を果たし、床の間全体を引き締めます。さらに、落し掛けの上部は小壁で仕切られます。小壁は、床の間の奥行きを強調し、空間の奥行きを感じさせる効果があります。 本床を構成するこれらの要素、一段上がった畳敷きの床、床框、落し掛け、そして小壁が組み合わさることで、荘厳で格調高い雰囲気が作り出されます。床の間には、掛軸や花を生けた花入れなどを飾ることで、その空間をより一層華やかに演出します。本床は、単なる床の装飾ではなく、日本の伝統的な建築様式における美意識や格式を体現する重要な要素と言えるでしょう。本床のある和室は、日本の文化の奥深さを感じさせる、特別な空間となるでしょう。
室内

床の間:和室の粋

床の間とは、日本の伝統的な和室に設けられた、格式の高い場所です。来客をもてなす際に、掛け軸や生花、美術品などを飾り、部屋全体の雰囲気を引き締めます。床の間は、単なる飾り付けの場所ではなく、日本の美意識や文化、精神性を映し出す重要な空間と言えるでしょう。 床の間の起源は、室町時代に遡ります。武家社会において、権威の象徴として発展し、床の間に飾られる掛け軸や美術品を通して、主人の教養や地位が示されました。書院造の確立とともに、床の間は書院の重要な構成要素となり、身分の高い人々が集まる場において、欠かせないものとなりました。 江戸時代に入ると、武家社会だけでなく、町人の家にも床の間が設けられるようになりました。茶道文化の発展とともに、床の間は茶室にも取り入れられ、わびさびの精神を表現する場としても重要な役割を果たしました。 床の間は、現代の住宅にも受け継がれています。現代の生活様式に合わせて簡略化されたものや、洋風の住宅に取り入れられたものなど、様々な形に変化しながらも、日本の住まいにおける特別な空間であり続けています。床の間があることで、和室はより洗練された雰囲気となり、そこに集う人々に落ち着きと静けさをもたらします。 床の間には、床板、床柱、落とし掛け、違い棚など、それぞれに役割を持つ様々な構成要素があります。床柱は、床の間の脇に配置される柱で、木材の種類や彫刻によって、床の間全体の印象を大きく左右します。落とし掛けは、床柱と壁の間に設けられた垂木で、天井を一段低くすることで、床の間をより際立たせる効果があります。違い棚は、床の脇に設けられた棚で、花器や置物などを飾るために用いられます。これらの要素が組み合わさることで、床の間はより奥行きと格調を持つ空間となります。 床の間は、日本の伝統と文化を象徴する存在として、今もなお人々を魅了し続けています。現代の住宅においても、その存在意義は薄れることなく、和の空間を演出する上で重要な役割を担っています。