
敷モルタル:家の基礎を支える縁の下の力持ち
敷モルタルとは、建材を下地にしっかりと固定するために、下地にあらかじめ薄く塗るモルタルのことです。モルタル自体は、セメントに砂と水を混ぜ合わせた建築材料で、レンガやタイル、石などの建材をくっつける糊のような役割を果たします。このモルタルを下地に薄く敷き詰めたものが敷モルタルで、現場では「敷とろ」と呼ばれることもあります。
敷モルタルは、建物の基礎を支える重要な役割を担っています。建材と下地の間に隙間なく密着させることで、建材のズレや剥がれを防ぎ、建物全体の強度と耐久性を高めます。
例えば、タイルを床に貼る場合を考えてみましょう。下地が凸凹していたり、少し傾斜していたりすると、タイルが綺麗に貼れません。そこで、敷モルタルを塗ることで下地の不陸を調整し、平らな面を作ることができます。この上にタイルを貼れば、タイルがしっかりと固定され、美しい仕上がりになります。また、敷モルタルは、水や湿気が下地に侵入するのを防ぐ効果もあります。水や湿気は建物の劣化を早める大きな原因となりますが、敷モルタルが壁のように防いでくれるため、建物の寿命を延ばすことにも繋がります。
敷モルタルは、建物の耐久性や防水性を高めるだけでなく、快適な居住空間の実現にも貢献します。例えば、床に敷モルタルを施工することで、床の強度が増し、歩行時の音や振動を軽減する効果が期待できます。また、壁に敷モルタルを施工することで、壁の断熱性を高め、室内の温度変化を緩やかにすることができます。このように、敷モルタルは普段目にすることはありませんが、建物の見えない部分で建物を支え、快適な暮らしを支える縁の下の力持ちと言えるでしょう。