建築の質を高める仕様書:JAAS
家を新しく建てたり、古くなった家を改修したりする際には、設計図面と同じくらい大切なものがあります。それが仕様書です。設計図面は家の外観や間取りといった全体像を示すものですが、仕様書は使われる材料の種類や施工方法など、細かい部分を具体的に定めるものです。
家を建てる作業は、多くの人が関わって行います。設計者、工事を行う人、材料を供給する人など、それぞれの専門家が協力して初めて家は完成します。しかし、それぞれが異なる解釈で作業を進めてしまうと、完成した家が思い描いていたものとは違うものになってしまうかもしれません。そうした事態を防ぎ、関係者全員が同じ理解のもとで作業を進めるために、仕様書は欠かせないものとなっています。
日本には、建築工事の仕様についてまとめた「日本建築学会建築工事標準仕様書」、略して「JAAS」と呼ばれるものがあります。これは建築工事における基準を示す仕様書であり、設計者や工事を行う人が共通の認識を持つための重要な指針となっています。JAASは、工事の各段階でどのような材料を使い、どのように作業を進めるべきかを細かく定めています。例えば、床材にどの木材を使うか、壁の断熱材にはどのようなものを使うか、塗装は何回塗り重ねるかといった、工事の細かな部分まで具体的に記述されています。
このJAASに沿って仕様書を作成することで、建物の品質を一定以上に保つことができます。また、工事の途中で変更や追加が発生した場合でも、JAASに基づいていれば、スムーズに協議を進めることが可能です。つまり、JAASは、家を建てるすべての人にとって、より良い家を建てるための共通言語と言えるでしょう。家を建てる際には、設計図面だけでなく、仕様書にもしっかりと目を向けることが大切です。