額入り障子:光と風を操る日本の知恵
額入り障子は、日本の伝統的な建具である障子に改良を加えたものです。障子は木でできた枠に紙を張って作られており、柔らかな光を取り込み、風を通すという長所があります。しかし、紙は破れやすいため、日常の使用で傷みがちでした。また、紙であるがゆえに外の様子が見えにくいという難点もありました。そこで、障子の機能性を高める工夫として生まれたのが額入り障子です。障子の中央部分にガラスを嵌め込むことで、障子の持つ風合いを残しつつ、耐久性と採光性を向上させています。
額入り障子の最大の利点は、外の景色を眺めることができることです。従来の障子では、外の光は柔らかく室内に入り込むものの、景色をはっきりと見ることはできませんでした。額入り障子は、中央のガラス部分が窓の役割を果たすため、室内にいながらにして庭の草木や空模様を楽しむことができます。また、ガラス部分は光をよく通すため、部屋全体が明るくなります。特に、日当たりの悪い部屋では、額入り障子を取り入れることで採光性を大きく改善することができます。
さらに、ガラス部分は汚れに強く、掃除がしやすいこともメリットです。障子の紙の部分は、埃が付きやすく、一度汚れると掃除が大変です。しかし、ガラスは濡れた布で簡単に拭き取ることができるため、清潔さを保つのが容易です。また、ガラスは耐久性が高いため、破れる心配もありません。小さなお子さんやペットがいる家庭でも安心して使用できます。このように、額入り障子は日本の気候風土に適した障子の良さを活かしつつ、ガラスの利点を組み合わせることで、より快適な住環境を実現する工夫と言えます。