単独浄化槽:知っておくべきこと
単独浄化槽とは、水洗トイレからの汚水だけを処理する装置のことです。台所やお風呂、洗濯といった日常生活で発生する排水は処理の対象外となります。かつては広く使われていましたが、環境への負担が大きいため、現在は製造が中止されており、新しく設置することは許可されていません。もし現在、単独浄化槽を使用している場合は、合併浄化槽への切り替えか、下水道への接続を検討する必要があります。
単独浄化槽は、汚水に含まれる有機物を分解しますが、窒素やリンといった栄養塩類は十分に取り除くことができません。これらの栄養塩類が川や湖に流れ込むと、水の富栄養化という現象を引き起こします。これは、水質の悪化や悪臭の原因となります。家庭排水に含まれる汚れの指標として、BOD(生物化学的酸素要求量)とCOD(化学的酸素要求量)があります。BODとは、水中の微生物が有機物を分解する際に消費する酸素の量を指し、CODは水中の有機物を酸化剤で分解する際に消費される酸素の量を指します。単独浄化槽はBODの除去率は高いものの、CODや窒素、リンの除去率は低いという特徴があります。
また、単独浄化槽は、合併浄化槽に比べて維持管理に手間がかかる場合があります。定期的な清掃や点検は当然のことながら、正しい使い方をしないと、悪臭や詰まりの原因にもなります。合併浄化槽はトイレ排水だけでなく、生活排水も併せて処理できるため、単独浄化槽に比べて環境負荷が低く、設置費用は高いものの、長い目で見ると経済的にもメリットがあります。
環境を守り、快適な暮らしを続けるためにも、単独浄化槽の現状を正しく理解し、適切な対応を心がけることが大切です。各自治体によっては、合併浄化槽への切り替え工事に対して補助金制度を設けている場合もありますので、一度お住まいの地域の自治体に問い合わせてみると良いでしょう。