真壁

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仕上げ

リフォームで解消!ちりとは?

家の中をよく見てみると、柱と壁、そして壁と窓枠が出会う場所に、微妙な段差や隙間があることに気付くでしょう。これを「ちり」と言います。まるで、部品同士がぴったりとはまらず、わずかなズレが生じているかのようです。 具体的に見ていきましょう。例えば、柱の表面と壁の表面が完全に平らになっておらず、高低差が生まれている場合があります。また、壁と窓枠の間に細い隙間ができていることもあります。これらも「ちり」です。 特に、日本の伝統的な建築様式である真壁造りで、この「ちり」がよく見られます。真壁造りでは、柱が壁面から少し前に出ているため、柱と壁の間にどうしても小さな隙間ができてしまいます。これが「ちり」です。 この「ちり」は、建物の構造上、あえて設けられている場合もあります。木材は湿気を吸ったり吐いたりすることで伸縮します。この伸縮に対応するために、あらかじめ隙間を設けておくのです。しかし、「ちり」が必要以上に大きいと、見た目が悪くなるだけでなく、そこから隙間風が入り込んだり、埃が溜まりやすくなったりするなどの問題が生じます。 そのため、家のリフォームを行う際には、この「ちり」に適切な処置をすることが大切です。大きすぎる「ちり」は、パテなどで埋めたり、調整材を用いて修正することで、家の美観と機能性を向上させることができます。
工法

真壁と大壁:日本の家の壁構造

真壁造りとは、日本の伝統的な建築様式の一つで、柱や梁といった建物の骨組みとなる構造材を隠さずに、そのまま露出させる壁の造り方です。柱と柱の間の壁面部分に壁板を落とし込むように嵌め込み、構造体の美しさをそのまま室内装飾として活かしている点が特徴です。 真壁造りの最大の魅力は、木材本来の温もりや味わいを存分に感じられることです。視界に入る柱や梁の木目や風合いは、空間に落ち着きと安らぎを与え、自然と調和した暮らしを実現します。また、木材は経年変化によって色艶が深まり、味わいを増していくため、時と共に変化する住まいの表情を楽しむことができます。 機能面においても、真壁造りは優れた特性を持っています。構造材が空気に直接触れるため、湿気がこもりにくく、建物の呼吸を促して耐久性を高める効果が期待できます。日本の高温多湿な気候風土において、建物を長持ちさせるための工夫が凝縮されていると言えるでしょう。さらに、壁の内部に空間ができるため、断熱材を充填することで断熱性・遮音性を向上させることも可能です。現代の技術と組み合わせることで、快適な居住空間を実現できます。 古民家や伝統的な日本家屋でよく見られる真壁造りは、近年、自然素材を活かした健康的な家づくりへの関心の高まりとともに、再び注目を集めています。木の呼吸を活かした、健康的で快適な住まいづくりを希望する方にとって、真壁造りは最適な建築様式と言えるでしょう。木の温もりと風合い、そして日本の伝統的な美意識が融合した真壁造りは、時代を超えて愛される住まいを実現する上で、有力な選択肢となるでしょう。
室内

畳寄せとリフォーム

畳寄せとは、和室の畳と壁の間に設置される、細長い板状の部材のことです。畳と壁の隙間を埋める役割があります。この隙間は、建物の構造上どうしても生じてしまうもので、畳寄せがないと埃が溜まりやすくなったり、見た目が悪くなったりする可能性があります。畳寄せはこの隙間を綺麗に覆い隠すことで、和室の美観を保つのに役立っています。 また、畳寄せは畳が壁に直接触れるのを防ぐ役割も担っています。畳は湿気を吸い込みやすい性質を持っているため、壁に直接触れていると、壁に湿気が移り、カビや腐食の原因となる可能性があります。畳寄せを挟むことで、畳と壁が直接触れることを防ぎ、壁の劣化を防ぎます。さらに、畳が壁に擦れて傷むのも防いでくれますので、畳の寿命を延ばすことにも繋がります。 畳寄せは施工時にも重要な役割を果たします。床と壁の仕上げ材の基準となる定規のような役割を果たし、正確な施工を可能にします。特に、日本の伝統的な建築様式である真壁造りにおいては、その効果が顕著です。真壁造りでは、柱が壁面から突出しているため、畳を柱に合わせて切り欠く作業が必要となります。畳寄せを設置することで、この切り欠き作業の基準となり、美しく均一な仕上がりを実現することができるのです。 このように、畳寄せは一見地味な部材ですが、和室の美観と機能性を両立させる上で、重要な役割を担っています。小さな部材ですが、日本の伝統的な建築様式と深く関わっており、職人の技術と知恵が詰まっていると言えるでしょう。