真壁造り

記事数:(3)

仕上げ

リフォームで解消!ちりとは?

家の中をよく見てみると、柱と壁、そして壁と窓枠が出会う場所に、微妙な段差や隙間があることに気付くでしょう。これを「ちり」と言います。まるで、部品同士がぴったりとはまらず、わずかなズレが生じているかのようです。 具体的に見ていきましょう。例えば、柱の表面と壁の表面が完全に平らになっておらず、高低差が生まれている場合があります。また、壁と窓枠の間に細い隙間ができていることもあります。これらも「ちり」です。 特に、日本の伝統的な建築様式である真壁造りで、この「ちり」がよく見られます。真壁造りでは、柱が壁面から少し前に出ているため、柱と壁の間にどうしても小さな隙間ができてしまいます。これが「ちり」です。 この「ちり」は、建物の構造上、あえて設けられている場合もあります。木材は湿気を吸ったり吐いたりすることで伸縮します。この伸縮に対応するために、あらかじめ隙間を設けておくのです。しかし、「ちり」が必要以上に大きいと、見た目が悪くなるだけでなく、そこから隙間風が入り込んだり、埃が溜まりやすくなったりするなどの問題が生じます。 そのため、家のリフォームを行う際には、この「ちり」に適切な処置をすることが大切です。大きすぎる「ちり」は、パテなどで埋めたり、調整材を用いて修正することで、家の美観と機能性を向上させることができます。
工法

家の骨組みを支える貫の魅力

日本の伝統家屋に見られる真壁造り。その構造の肝となるのが「貫」です。一見すると、細長い板切れのように見える貫ですが、実は家の骨組みを支える、縁の下の力持ちと言える重要な部材です。 貫は、柱と柱の間を水平に繋ぐように配置されます。この配置こそが、地震や強風といった外からの力に耐える強さを生み出します。家全体を揺かさないように、まるでじん帯のように力を分散させ、倒壊を防ぐのです。 具体的に見てみましょう。地震が起きた時、家は横からの力を受けます。この時、貫がないと、柱は簡単に倒れてしまいます。しかし、貫があることで、柱はしっかりと固定され、横からの力に抵抗できます。また、強風が吹いた時にも、貫は家の形を保つ役割を果たします。風を受けても、柱が傾いたり、壁が崩れたりするのを防ぎ、家を守ってくれるのです。 貫の役割は、構造を支えるだけではありません。真壁造りの美観にも大きく貢献しています。真壁造りでは、柱や梁といった構造材がそのまま見えるようになっています。この時、柱と柱の間を繋ぐ貫も、視覚的に重要な要素となります。木材の温かみと力強さを持ち、落ち着いた雰囲気を作り出します。まさに、日本の伝統的な建築美を象徴する要素の一つと言えるでしょう。 このように、貫は家の強度を高めるだけでなく、見た目の美しさにも欠かせない存在です。日本の伝統的な家屋が持つ、独特の美しさと強さを支える、隠れた功労者と言えるでしょう。
工法

小舞と日本の伝統建築

小舞とは、日本の伝統的な木造建築に見られる、土壁の下地として用いられる建材のことです。特に、柱や梁といった建物の骨組みをそのまま外に見せる真壁造りでよく使われています。古民家や寺院など、歴史ある建物でこの真壁造りを目にすることが多いでしょう。土壁を柱や梁に直接塗ってしまうと、乾燥や地震の揺れでひび割れが生じやすくなります。そこで、小舞を間に挟むことで、土壁の強度を高め、ひび割れを防ぐのです。 小舞の材料は、竹や木を細く割ったものです。これを縦横に組み合わせて、縄でしっかりと編んで作ります。竹や木を編むことで、土壁の重さをしっかりと支えられる、丈夫な構造になります。この、まるで網目のように細かく編まれた構造こそが、小舞の大きな特徴です。この緻密な構造のおかげで、土壁の重さを分散させ、建物全体への負担を軽減する効果も期待できます。こうして小舞は建物の耐久性を高め、長持ちさせるのに一役買っているのです。 近年では、工期短縮やコスト削減のため、より簡便な工法が主流となっています。そのため、新しく建てられる住宅で小舞を見かけることは少なくなりました。しかし、小舞は日本の伝統的な建築技術を代表する重要なものであり、その技術は現代にも受け継がれています。古民家の修復などでは、今もなお小舞が使われており、職人の手によって丁寧に作られています。小舞を用いた土壁は、独特の風合いを持ち、調湿性や断熱性にも優れているため、現代の住宅でもその価値が見直されています。