風格ある住まいを実現する玄昌石の魅力
玄昌石は、天然スレートと呼ばれる粘板岩の一種です。スレートとは、元々は泥や火山灰が海底に堆積してできた岩石で、長い年月をかけて地中の圧力と熱の影響を受けて変化したものです。この変化の過程で、岩石は薄く板状に剥がれやすくなる性質、劈開性を持つようになります。この劈開性こそが、スレートを建築材料として利用する上で大きな利点となっています。
玄昌石は、数あるスレートの中でも、特に黒や青みがかった灰色といった落ち着いた色合いが特徴です。その独特の深い色味は、見る人に静謐な印象を与え、和の情緒を感じさせます。そのため、古くから日本の伝統的な建築、特に和風家屋で好んで使われてきました。例えば、玄関までの通路である玄関アプローチや、浴室の床材、庭園の敷石などに用いられ、落ち着いた雰囲気を演出しています。
近年、天然素材の良さが見直される中で、玄昌石も再び注目を集めています。耐久性に優れているため、長期間にわたって美しさを保つことができます。また、吸水性が低いため、雨や水に濡れても滑りにくく、安全性の面でも優れています。さらに、自然素材ならではの独特の風合いと重厚感は、現代建築にも高級感と風格を与えてくれます。外壁材や屋根材として使用すれば、建物の外観を美しく格調高く仕上げることができますし、内装材として使用すれば、落ち着いた雰囲気の空間を作り出すことができます。このように、玄昌石は、伝統と現代の美意識を融合させる素材として、今後ますます活躍が期待されています。