茶庭

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トイレ

離れの厠:茶庭の静謐

茶庭とは、ただお茶を味わうためだけの場所ではなく、訪れる人を心からおもてなしするための、様々な工夫が凝らされた空間です。そのおもてなしの心を表す一つとして、離れにある厠、雪隠の存在が挙げられます。 茶室から少し離れた場所にひっそりと佇む雪隠は、客人にくつろぎと静寂を提供する大切な場所です。茶室から雪隠までの道のりは、心静かに過ごせるように配慮されています。飛び石や延段といった趣のある小道が続き、足音を抑えながら歩を進めることで、自ずと心が落ち着いていくのを感じることができるでしょう。 また、雪隠は庭木によって巧みに隠されています。そのため、美しい庭の景観を損なうことはありません。客人たちは、周りの目を気にすることなく、安心して用を足すことができます。このさりげない配慮こそが、茶庭という特別な空間をより一層心地よいものにしているのです。 雪隠の内部にも、おもてなしの心が感じられます。壁には掛け軸や花が生けられ、簡素ながらも落ち着いた雰囲気が作り出されています。小さな窓からは柔らかな光が差し込み、心を和ませてくれます。また、清潔に保たれた室内は、清々しい気持ちで利用できるようになっています。 このように、茶庭にある雪隠は、単なる厠という役割を超え、客人に対する心遣いが込められた、おもてなしの空間となっているのです。茶庭を訪れる際には、こうした細部にまで行き届いた心配りに目を向け、その奥深さを味わってみてください。きっと、忘れられないひとときとなることでしょう。