雪見障子

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雪見障子:冬の景色を楽しむ日本の知恵

雪見障子は、日本の伝統的な家屋に見られる、冬の景色を堪能するための特別な建具です。名前の通り、雪景色を眺めるのに最適ですが、その他の季節の風景も楽しむことができます。普通の障子は木枠に和紙を張ったものですが、雪見障子は一部にガラスがはめ込まれているのが特徴です。このガラス部分のおかげで、外の景色を直接見ることができるのです。 さらに、雪見障子には「孫障子」と呼ばれる小さな障子が備わっています。この孫障子は、ガラス部分の内側に設置されており、上下にスライドさせることができます。つまり、ガラス部分の開き具合を自由に調整できるのです。例えば、景色を広く眺めたい時は孫障子を上に上げ、光だけを取り入れたい時は少しだけ開け、外からの視線が気になる時は完全に閉めることができます。このように、孫障子を調整することで、光や視線の制御を自在に行えるのです。 雪見障子は、障子としての機能に加え、景色を額縁のように切り取って見せる効果も持っています。まるで一枚の絵画のように、移り変わる景色を家の中に取り込むことができるのです。これは、日本の四季の美しさを暮らしの中に取り込もうとした、先人たちの知恵と工夫の表れと言えるでしょう。雪見障子は、機能性と美しさを兼ね備えた、日本の伝統的な建具の傑作と言えるでしょう。
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猫間障子:古き良き日本の知恵

日本の家屋で古くから見られる障子。光を柔らかく通し、部屋を明るくするだけでなく、通気を良くし、夏は涼しく、冬は暖かい空気を保つ役割も担ってきました。この障子に、小さな工夫を加えたものが猫間障子です。猫間障子とは、その名の通り、猫が自由に出入りできるよう、障子の一部に小さな扉を設けたものです。 昔の家屋では、猫は家の中でも外でも自由に過ごしていました。猫が家の内外を自由に行き来できるようにと、この猫間障子が考え出されました。障子の開け閉めを猫に頼る必要もなく、人は障子を閉めたままでも、猫は小さな扉から出入りできたのです。これは、人と猫の双方にとって、大変便利なものでした。冬は、せっかく温まった部屋の暖かい空気が外に逃げるのを防ぎ、夏は、風通しを良くしつつ、虫の侵入を防ぐことができました。小さな工夫ですが、人と猫が快適に暮らすための知恵が詰まっていると言えるでしょう。 現代の住宅では、壁にペット用の小さな扉を設置するのが一般的になっています。しかし、この猫間障子は、その先駆けと言えるでしょう。猫と人が共に暮らす上で、障子という日本の伝統的な建具に猫用の小さな扉を設けるという発想は、日本人の動物に対する優しい気持ち、そして、自然と調和して暮らそうとする知恵の表れと言えるでしょう。猫間障子は、日本の住文化の奥深さを感じさせる、ささやかで心温まる工夫なのです。
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額入り障子:光と風を操る日本の知恵

額入り障子は、日本の伝統的な建具である障子に改良を加えたものです。障子は木でできた枠に紙を張って作られており、柔らかな光を取り込み、風を通すという長所があります。しかし、紙は破れやすいため、日常の使用で傷みがちでした。また、紙であるがゆえに外の様子が見えにくいという難点もありました。そこで、障子の機能性を高める工夫として生まれたのが額入り障子です。障子の中央部分にガラスを嵌め込むことで、障子の持つ風合いを残しつつ、耐久性と採光性を向上させています。 額入り障子の最大の利点は、外の景色を眺めることができることです。従来の障子では、外の光は柔らかく室内に入り込むものの、景色をはっきりと見ることはできませんでした。額入り障子は、中央のガラス部分が窓の役割を果たすため、室内にいながらにして庭の草木や空模様を楽しむことができます。また、ガラス部分は光をよく通すため、部屋全体が明るくなります。特に、日当たりの悪い部屋では、額入り障子を取り入れることで採光性を大きく改善することができます。 さらに、ガラス部分は汚れに強く、掃除がしやすいこともメリットです。障子の紙の部分は、埃が付きやすく、一度汚れると掃除が大変です。しかし、ガラスは濡れた布で簡単に拭き取ることができるため、清潔さを保つのが容易です。また、ガラスは耐久性が高いため、破れる心配もありません。小さなお子さんやペットがいる家庭でも安心して使用できます。このように、額入り障子は日本の気候風土に適した障子の良さを活かしつつ、ガラスの利点を組み合わせることで、より快適な住環境を実現する工夫と言えます。