日本の伝統色、べんがらで彩る家
べんがらは、酸化鉄を主成分とする赤色の顔料です。鉄が酸化した際に現れる、どこか黄色みを帯びた独特の赤色が特徴です。その名前の由来は、インドのベンガル地方だと伝えられています。この地方で産出されたべんがらが、広く世界に広まったと考えられています。
日本では、古くから建築物の塗装に用いられてきました。特に神社仏閣の鳥居や柱など、重要な部分に塗られることが多く、鮮やかな赤色が神聖な雰囲気を際立たせています。例えば、厳島神社の鳥居や、日光東照宮の社殿など、日本の代表的な建築物にもべんがらが使われています。
べんがらは天然の鉱物から作られます。土の中に含まれる鉄分を原料とし、自然の力によって生まれた色合いは、日本の伝統的な建築様式と非常に相性が良いです。周りの風景に溶け込むような、自然との調和を感じさせる美しさは、まさに日本の伝統美を象徴するものと言えるでしょう。
べんがらの歴史は古く、古墳時代には既に使用されていたという記録が残っています。長い年月を経ても色褪せない耐久性の高さも、べんがらの大きな魅力です。風雨に晒されても、その鮮やかな赤色は失われることなく、建物を守り続けてきました。
現代においても、べんがらは多くの建築物で愛用されています。その独特の風合いと、時代を超えて愛される色合いは、今もなお人々を魅了し続けています。古き良き伝統を守りながら、新しい時代にも受け継がれていく、日本の大切な文化の一つと言えるでしょう。